10年間のうつとサヨナラするきっかけ

のの鍼灸室 うつ病

うつ病の薬は、逃げていたものと向き合ったとき、手放せました。

これは、10年間うつ病を患い、3種類の精神薬を飲み続けていた40代女性の実話です。

鍼灸と行動習慣の変化によって、薬は1種類まで減りました。そして彼女は気づいたのです。

「残りの1種類は、自分の保身のために残しているだけだ」と。

10年間、3種類の薬と生きてきた

その患者さんは40代の専業主婦です。保育園児のお子さんが2人いる、毎日忙しいお母さんでした。

うつ病歴は10年。長い間、3種類の精神薬を手放せずにいました。

「薬をやめたい」という気持ちはずっとありました。でも、勇気が出なかった。薬がなくなったら、また元に戻ってしまうのではないか。その恐怖が、薬をやめることを阻んでいたのです。

うつ病になった本当の原因

私が彼女と話を重ねる中で、一つの仮説が見えてきました。

「もしかしたら、ずっと逃げていたから、避け続けていたから、うつ病になったのかもしれない」

苦手なものから逃げる。嫌なものを避ける。それが長年続くことで、心も体も固まってしまう。

脳や神経も同じです。刺激を避け続けると、少しずつ活性化する力を失っていきます。

彼女自身も、その仮説に深く頷いていました。

「苦手なこと、全部やってみよう」

そこから彼女の行動が変わりました。

「逃げていたなら、あえて全部取り入れてみよう」

そう決めて、苦手だったことを一つひとつ試し始めました。

お花に全く興味がなかった彼女が、花を買って育て始めました。何十年も食べていなかった苦手な野菜を、あえて食べてみました。

のの「避けていたものと向き合うことで、考え方が変わるかもしれない。栄養素が変わることで、脳や神経が活性化するかもしれない」

そんな自分なりの仮説を立てて、楽しみながら取り組んでくれました。

鍼灸の役割——あくまで「一時的なサポート」

並行して鍼灸治療も行いました。

鍼灸は自律神経を整える効果があります。心と体の緊張をほぐし、リラックスした状態を作ることができます。

でも私は彼女に正直にお伝えしました。

のの「鍼灸で自律神経を整えることはできます。でもこれは一時的なものです。いつもの生活に戻れば、また元に戻ります。本当に変わるのは、日々の行動と心の向き合い方です」

鍼灸は、変わるためのきっかけです。変わり続けるのは、自分自身の力です。

「残りの1種類は、自分の保身のため」

行動習慣を変えていく中で、薬は3種類から1種類まで減りました。

そして彼女はある日、こう話してくれました。

「この1種類、もう必要ないと思うんです。でも怖くてやめられない」

「怖い、というのはどういう意味ですか?」と聞くと、

「なくなったら不安だから。お守りみたいな感じで持っているだけかもしれない」

その言葉を聞いて、私は思いました。

これは薬への依存ではなく、自分への不信感だと。「私は薬なしでは生きられない」という思い込みが、最後の1種類を手放せない理由だったのです。

「それは自分の保身のために残しているんですね」

そう伝えると、彼女はしばらく沈黙した後、静かに頷きました。

薬は悪者じゃない

はっきり言います。

うつ病の急性期には、薬が命を守ることがあります。

私は薬を否定していません。薬があったから、彼女は10年間生きてこられた。それは事実です。

でも薬は、根本を変えるものではありません。

逃げていたものと向き合い、避けていたものを受け入れる。その行動の変化が、本当の意味での回復につながります。

うつ病でお悩みの方へ

長年うつ病と闘っている方に、一つだけ聞かせてください。

あなたが長年「避けてきたこと」「逃げてきたこと」は何ですか?

それと向き合うことが怖いから、心が「もう動けない」と止まってしまっているのかもしれません。

薬をやめることよりも、まず「逃げていたものと少しだけ向き合ってみること」が、回復への第一歩になるかもしれません。

埼玉県川越市・鶴ヶ島駅徒歩5分の「のの鍼灸室」では、うつ病など心の不調に対して、心と体の両方からアプローチする鍼灸治療を行っています。「薬をやめたいけど怖い」という方も、まずはお気軽にご相談ください。

目次

よくある質問

Q. うつ病に鍼灸は効果がありますか?
A. 鍼灸は自律神経を整え、心身のリラックスを促す効果があります。ただし鍼灸はあくまで一時的なサポートです。根本的な回復には、日々の行動習慣や心の向き合い方が重要です。

Q. 精神薬を飲んでいても鍼灸を受けられますか?
A. はい、受けていただけます。投薬中の方も多くいらっしゃいます。薬をやめることを推奨するものではありません。必ず主治医と相談の上でお越しください。

Q. うつ病で「薬をやめたい」と思っているのですが…
A. その気持ちはとても自然なことだと思います。ただ薬の中断は必ず主治医と相談の上で行ってください。「やめること」より「なぜ薬が必要になったのか」と向き合うことが、本当の回復への近道です。

筆者プロフィール
のの鍼灸室 院長・鍼灸師 のの

「病は心からのメッセージ」をポリシーに、心と体の両方からアプローチする鍼灸治療を埼玉県川越市で行っている。自己免疫疾患・うつ病・慢性疾患など、西洋医学では解決できなかった不調を抱える方の力になりたいと日々治療にあたっている。

この記事を書いた人

のの|鍼灸師・作家

甲状腺機能亢進症(バセドウ氏病)から、進展して更に甲状腺クリーゼを発症。

死の淵を彷徨いました。
バセドウ病・橋本病・リウマチ・潰瘍性大腸炎など
自己免疫疾患で悩む方に寄り添います。

kindle本2冊執筆済
現在商業出版で2冊執筆中です。

目次